待ち合わせの時間が近づくにつれて、心臓がどんどん速くなるのを感じた。12年間、こんな気持ちになることはなかった。「もしかしたら、帰りたくなるかもしれない」 そんな気持ちが一瞬よぎるけれど、ここまで来たらもう引き返せない。
約束のカフェに向かう途中、ガラス窓に映った自分をチラッと見る。少し巻いた髪、軽く整えたメイク、落ち着いた色のスカート。いつもの自分より少しだけ華やかに見える。
「大丈夫、私は私。」
自分にそう言い聞かせながら、店のドアを開けた。
「あっ、いた…!」—第一印象は?
お店に入ると、すぐに彼を見つけた。彼は窓際の席に座っていて、スマホを見ていた。
「あ、やっぱり若い…!」
写真で見た通り、いや、それ以上に洗練された雰囲気。清潔感のある黒のシャツに、細身のパンツ。どこかラフなのに、大人っぽさもある。
私は緊張しながら、そっと声をかける。
「…こんにちは。」
彼はすぐに顔を上げ、目が合った瞬間、ニコッと笑った。
「あっ、こんにちは!すぐに分かりましたよ。」
その笑顔に、心の中の緊張が少しだけ解けるのを感じた。
最初の10分—会話はスムーズ?ぎこちない?
席に着いて、コーヒーを注文する。正直、最初の10分は緊張で何を話したのか覚えていない。でも、彼は終始リラックスしていて、自然に話しかけてくれる。
「実際にお会いするの、すごく楽しみでしたよ。」
「アプリで話してると、実際に会ったらどんな感じか気になりますよね。」
彼はサラッとそんなことを言う。私は「そうですね」と微笑みながら、彼の顔をじっと見た。
—こんなに年下の男性と、今、私は向かい合っている。
それが何だか不思議で、でもどこか心地よくて、少しずつ緊張が解けていった。
「年の差って気になる?」—気になる話題に触れてみた
話が弾んできた頃、私は思い切って聞いてみた。
「ねえ、実際に会ってみて…年齢差って気になる?」
彼は少し驚いた顔をしたあと、すぐに笑って答えた。
「え? 全然気にならないですよ。むしろ、落ち着いていて話しやすいし。」
その言葉に、私は少し安心する。でも、彼の言葉がどこまで本心なのか、まだ分からない。
「また会いませんか?」—意外な展開
話しているうちに、時間はあっという間に過ぎていった。そろそろお開きかな…と思ったとき、彼がふとこんなことを言った。
「今日はすごく楽しかったです。よかったら、また会いませんか?」
…え? もう次の約束?
私は一瞬戸惑ったけれど、その申し出が嬉しくて、自然と頷いていた。
「うん、また…お話しできたらいいですね。」
彼の目が、少しだけ意味ありげに笑っているように見えたのは、気のせいだろうか。