朝からなんとなく落ち着かない。仕事はいつも通りこなしているはずなのに、心のどこかがずっとそわそわしている。
「明日、彼と会うんだよね…。」
たった一回会っただけの彼。だけど、その短い時間の中で、私は彼の存在を気にするようになっている。
しかも、今回は“お茶”ではなく、ちゃんとしたデート。そう思うと、やっぱり少し緊張する。
何を着ていけばいい?
仕事が終わってから、クローゼットを開けて悩み始めた。
「久しぶりのデートで、何を着ればいいのかわからない…。」
普段はシンプルな服ばかり選んでしまう。でも、明日は少しだけ雰囲気を変えたい気がする。
「大人っぽくしすぎると気合い入りすぎに見えるし、若作りしすぎても痛いし…。」
悩んだ末に、シンプルだけど女性らしいワンピースを選んだ。落ち着いた色合いで、派手すぎず、それでいて少しだけ華やかさがある。
「これなら、自然に見えるかな?」
久しぶりに「誰かに見られること」を意識して服を選んでいる自分が、少し不思議だった。
下着、どうしよう?
服を決めてふと気づく。
「そういえば、下着は…?」
デートにそんなことを考えるなんて、何年ぶりだろう。
別に、何があるわけでもない。そんなつもりじゃない。
でも、万が一のことがあったら…?
「いやいや、まだそんな関係じゃないし…。」
そう思いながらも、手は自然と引き出しに伸びていた。
普段は楽なものばかり選んでしまうけれど、せっかくなら少しだけ気分が上がるものを選びたい。
派手すぎない、でも女性らしいレースのランジェリー。
自分のために、明日はこれにしよう。
誰に見せるわけでもないけれど、ちょっとした秘密を持つみたいで、それだけで少し気分が上がる気がした。
メイク、どうしよう?
服が決まったら、次に気になったのはメイク。
普段はそこまで気にしていなかったけど、明日はちゃんとしたデート。少しだけ頑張ってみようかな…?
「ナチュラルに見えて、でもちょっと華やかに…。」
そんなことを考えながら、YouTubeでメイク動画を見たり、手持ちのコスメを試してみたり。
やりすぎず、でもちゃんと「女性らしさ」が出るように。
こうやって準備をする時間自体が、すごく楽しいと感じている自分に気づく。
「まるで10代の頃みたい…。」
12年間、恋愛をしてこなかった。誰かのために服を選んだり、メイクを気にしたりすることもなかった。
でも、今の私は、久しぶりに「女性として見られること」を意識している。
それが、嬉しくもあり、ちょっとだけ怖くもあった。
期待と不安
彼と会うのは二度目。前回はお茶をしただけだけど、今回はもう少し長く一緒に過ごすことになる。
「どんな話をするんだろう?」
「彼は、私のことどう思ってるんだろう?」
「もしかして、ちょっと手をつながれたり…その先も?」
そんなことを考えている自分が、なんだか可笑しい。
でも、それと同時に、不安もある。
「12年も恋愛をしてこなかった私が、若い彼とデートして、ちゃんと楽しめるのかな?」
年齢のこと、距離感のこと。考えれば考えるほど、不安は膨らんでいく。
でも、ひとつだけ確かなのは——
「私は、彼に会いたいと思っている。」
それだけは、間違いない。
…こんなことを考えていたら、いつの間にか夜も遅くなっていた。
明日は、ただ楽しもう。